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空き家投資ビジネスが大ブーム?高利回り投資セミナーにご用心!

2023/06/25

空き家法の施行で放置している空き家の税金が6倍に!?

国土交通省が5年毎に実施している住宅・土地統計調査(空家実態調査)によると、平成30年の全国の空き家は848万戸(全国の住宅の13.6%)となり、その数は年々増加し20年間で2倍近くに増加するなど社会問題化しています。

そして2023年3月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(通称、「空き家法」)」が閣議決定され、2015年から施行された空き家対策特別措置法によって誰も住んでいない空き家の固定資産税を実質的に増税することが可能となりました。法改正に先立って町屋が数多く残る京都市では全国初の試みとして「空き家税(非居住住宅活用促進税)」が導入されることも大手メディアで報道され大きなニュースになりました。

改正前は倒壊の恐れなど周囲への悪影響がある「特定空家」に指定された場合に税金が高くなる仕組みでしたが、法改正によって特定空家の前段階である「管理不全空家」でも税金が上がる可能性があります。

特定空家となる要件

  • 倒壊など、著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • 著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の安全を図るために放置することが不適切である状態

 

【固定資産税の住宅用地特例】

固定資産税
空き家(更地) 課税標準額×1.4%
小規模住宅用地(200㎡以下の部分) 課税標準額×1/6×1.4%
一般住宅用地(200㎡超の部分) 課税標準額×1/3×1.4%

※特定空家に認定されると1/3~1/6の減税措置が無くなることを「税金が6倍になる」と表現しています。

 

空き家法はビジネスチャンス!?

空き家法施行前は空き家を所有していても解体する費用が掛かる、売却のあてが無い、複数の所有者の同意が得られない、先祖代々の守るべき家など、財産に関する様々な考え方によって先送りにされ、自然に朽ちるまでは固定資産税の住宅用地の特例措置が適用されることから放置されている空き家が多くみられましたが、法施行によって特定空き家と認定されると、税率が跳ね上がる可能性があります。

所有者ができる対策としては、「売却する」、「リフォーム、解体などして賃貸に出す」、「別荘として自ら利用(自用)」、「管理業者に委託する」など様々な方法がありますが、空き家を所有している側にはそれぞれ活用できない理由を抱えており、どの選択も今すぐには決断できない個々の事情があります。いきなり特定空家に認定されるわけではなく、自治体からの指示があり管理状態を維持することで回避することができますが、とはいえ行政指導を受けると急には対応できないかもしれません。

一方、歴史的にみて、こういった税法の改正時、特に不動産関係の税制改正は大きなビジネスチャンスがあり、例えば空き家法ではリフォーム業者や解体業者など不動産関連業者から、司法書士、行政書士、マッチングサイト運営会社など、様々な業界にとって事業のチャンスがあります。また、今回の空き家法施行によって地方の売却物件が増加することは確実で、物件が多量となると価格は安くなる市場原理から投資家としても魅力的な分野であり、頭打ちがささやかれる株式市場から不動産市場への投資資金流入が期待されており、特にアンテナの高い個人投資家は低投資で高リターンを狙えるとして「空き家投資ビジネス」に注目が集まっています。素人には難しいと言われてきた不動産投資もインターネットの普及や先人たちが詳しく事例を教えてくれる書籍など情報商材であふれており、興味を持っている方も多いはずです。

 

リフォームなしで貸し出しすることは可能!?

税法改正によって空き家の多くが売却に出されることが予想されており、『安く買った空き家をリフォームして高く売却(賃貸)する』と謳う業者がすでに乱立しています。しかし少しお考えいただきたいと思います。

業者は当然、自社の利益を最大化するためにはすれすれの誇大広告を行うことが常識です。リフォーム代金を上乗せしてさらに利益を得るほどの高値で売却できるでしょうか。それなら、リフォーム業者が買い取りして自社で販売すると思いませんか?業者の試算をみると、多くが取得価格や工事代金が『たまたま安かった』例を誇張し、まるで確実な収益があるような表現方法です。シロアリや腐食のようないわゆる瑕疵について、売り主が個人の場合は『瑕疵担保責任免責特約』によって責任を負わなくてよいと説明している素人を騙すような悪質なサイトもありますが、民法改正によって現状有姿売買であることを主張するだけでは契約不適合の責任を免れることはできません。住宅の瑕疵はよく調べなくても気づくことばかりで、ひと昔前のように、床が変色していたが浸水による腐食とは思わなかった、シロアリが軒先にぶんぶん飛んでいるのに床下にシロアリがいるとは知らなかったなど、不注意で調べていなかったことを主張しても通用しないわけです。投資目的で取得した古家のリフォーム代が思っていたより高額だった場合、どうすればよいのでしょうか。どちらにしても大損が待っています。

また、空き家を賃貸に出すためにも当然、「入居希望者に貸し出しできる状態」にする必要があります。空き状態が長かったり、老朽化しているなど物件が利用できない状態であればリフォームする必要があります。

家主が賃貸物件として第三者に貸し出しする場合には、民法や宅建業法によって物件の状態について「告知義務」があります。不動産業者を通す場合にはプロが厳しく点検するためルール違反は基本的には無いはずですが、個人間の取引の場合にトラブルが多いのは昔から同じです。特に空き家法対策や高利回りを狙って「ボロ家」を貸すときには家賃の高い安いにかかわらず注意が必要です。

十分に説明をしたうえで貸し出ししたつもりでも、その説明が不十分とされると、損害賠償請求のほか、家賃の支払いを停止され、家賃収入がたたれてしまうケースも想定されます。これから空き家投資ブームが到来することは確実とはいえ、先行投資が安いというだけの理由で空き家投資ビジネスに参入した素人が起こしたトラブルによって、民泊同様に、「空き家を借りる」ことのネガティブなイメージが広がることも考えられます。

  • 最低限のリフォームを実施する
  • リフォームしない場合は借主側で行うリフォームを認め、原状回復義務も免除する。
  • 建物の瑕疵(物理的・心理的な欠陥)は全て書面で説明し、同意を得ておく

上記程度は最低限必要です。他人に物件を貸すということは、その責任を負うことを忘れてはいけません。

 

空き家投資ビジネスは確実に儲かる?

改正法の施行によってメディアで税金や空き家ビジネスを目にする機会が増えていきます。6月23日に放送されたガイアの夜明け(テレビ東京系)でも、投資家・入居者・工務店・地域の4方良しビジネスだとか、空き家に資金をつぎ込む投資家の「楽しては儲からないけれど、頑張った分だけリターンがある」コメントをピックアップし、まるで堅い投資のように紹介されていましたし、巷ではすでに超高利回りの空き家投資セミナーが開催され、平均利回りが20%を超えるなど通常で考えればあり得ない「絶対確実に儲かる方法」があるかのように宣伝しています。これらは、高い家賃でボロ家に文句も言わず、長期間借りてくれる架空の入居者が存在していることが前提です。

ちなみに、リスクの無い不動産投資は存在しません。頑張れば見返りが約束される投資も当然存在しません。不動産だけでなく、投資には確実にリスクがあります。税法改正で大きなビジネスチャンスがあり、確かに不動産業界にとっては追い風の一面もありますが、うまい話(ビジネスチャンス)に騙されないようご注意ください。

 

【記事監修】RESUS社会保険労務士事務所/山田雅人(宅地建物取引士・AFP・社会保険労務士)
大企業・上場企業を中心に10年以上にわたり全国100社以上の社宅制度導入・見直しに携わった経験を活かし、不動産仲介業者に向けた法人契約事務代行サービスの提供と社宅代行会社向け実務運用コンサルティング、また日本で一番社宅制度に詳しい社労士として不動産オーナー・管理会社向けに資産運用をサポートしています。

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