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2020年の引越し難民は昨年以上?懸念材料と企業の対策

2019/10/28

2019年は春の引越しシーズンで大量の「引越し難民」が発生し、過去最悪の混乱ともいわれ大きくニュースで扱われました。また2020年の春に向けた準備を考える時期になりました。

大手住宅メーカーの不祥事によって大量の転居者が発生した去年の特需は落ち着いているとはいえ、今年は今年で別の懸念材料が増えています。2020年春の引越しシーズンはどの程度の混乱が予想されるでしょうか。

「引越ししたくても予約が取れない」、「引越しを予定していた当日のトラックが来ない」、「引越し会社から返事が来ない」などは数年前から発生していましたが、昨年は特に引越し一括見積もりサイトでも見積が高額化したり、ほとんどの業者に断られるような状態となり、引越しできなかった人たちを「引越し難民」と呼びニューズで大きく取り上げられました。

✅ヤマトホームコンビニエンスの法人引越し再開は?

ヤマトホームコンビニエンスは法人客への過大請求の問題で引越しの受注停止を継続しており、個人は再開されているものの法人向けは大規模なシステム改修などによって再開のめどがたっていません。アマゾンなどネット通販によってドライバー確保の問題もあり、ヤマトホームコンビニエンスがもしも法人引越しを再開しないならば抜けた穴はあまりにも大きなものとなります。

✅オリンピック・パラリンピックイヤーの影響

2020年はオリンピック・パラリンピックイヤーで開催の直前時期にちょうど引越しシーズンが重なります。かつては引越しシーズンにだけ引越しを手伝い、他の時期には資材運搬等で兼業していたドライバーは引越しを手伝うことができるのでしょうか。

✅物流業界へのドライバー流出

引越し業務と比べて肉体労働が少なく、また待遇のよい物流系へドライバーの転職が続いています。引越しと物流の両方を行っていた企業も収益性の高い物流系へ業務をシフトしつつあり、引越しドライバーの確保はますます困難になっています。

✅長時間労働の上限規制

2019年4月1日より施行されている働き方改革関連法の施行によって、時間外労働の上限がまず大企業から規制されています。中小企業は2020年4月1日からとなりますが、実務上有効となるのはちょうど2020年春の引越しシーズンからとなります。

残業する場合は原則として労働基準法36条で定める労使協定(36協定)を締結した場合に限り、月45時間、年360時間までの時間外労働が可能となり、「繁忙期のような特別な事情」がある場合でも月100時間を超えることはできません。但し、これら時間外労働の上限規制は、2019年4月1日より前に締結した36協定は一年間有効とされるため、2019年4月より前に締結した一年間の36協定の期限が切れるタイミング、ちょうど来年の引越しシーズンにはほとんどの大企業で36協定の有効期限が切れ、上限規制が適用される新しい36協定に更新されています。

資本金が3億円を超え、かつ301人以上の労働者数を常用する引越し業界最大手のサカイ引越センターは大企業とみなされ、また、60時間を超える時間外労働の割増賃金も5割増し以上(中小企業は2023年4月1日から)で支払わなければならないため、引越し業界で唯一大企業と扱われるサカイ引越センターに時間外労働の上限規制が適用される影響は少なくないはずです。

✅引越し業界の働き方改革

引越し業界大手のアート引越センターが2018年の春の受注を2割削減したにもかかわらず、利益が大きく増加したニュースは大きく取り上げられました。深刻な人手不足に悩む業界のリーディングカンパニーが好例を示したことで、働き方改革に取り組む引越し会社が増加しています。もちろん経営ですので、人件費コストとのバランスを考えれば当然と言えますが、信頼のあるブランドと安さで勝負するしかない無名の業者では取り組みにも大きな差が付きます。

✅2020年の引越しシーズンはどうなる

好景気が続くと転勤は増加します。よって緩やかな景気回復が続く現状のまま行くと昨年同様、もしくはそれ以上となるかもしれません。引越し業者の法人担当に聞くと昨年ほどではないはずとの回答でしたが、確か昨年もそのような回答でした。時期をずらすことが可能な個人は引越し難民とならないように工夫するはずですが、そうはいかない転勤引越しや新入社員たちに企業はどのように対策していくのでしょうか。

✅対策は?

個人の引越しであれば時期をずらすなど早めの計画と一括見積サイトを活用するのがベストと思われますが、転勤に伴う引越しは本人の都合ではなく、会社の人事発令のタイミングで異動が発覚するため、ほとんどの企業の辞令はギリギリになります。転居を伴う異動の場合は慌てて引越し会社を確保しなければならず、3月末から4月初旬までのピーク時には平常月の4倍以上の引越し料金となったケースも多発しており、当社の取引先企業でも100万円近くの引越し料金を支払った会社がありましたので、2020年もピーク時の引越し料金は高騰するはずです。

ピーク時に異動の可能性がある企業で「引越し難民」を発生させると大変なことになるため、企業の人事部で引越し業者を手配しているような会社は一社と料金協定(タリフ)を締結するなど専属契約を検討するのも有効な方法です。

 

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おわりに

春は新生活の始まりとともに、大きなお金も動く時期ですが、昨今の人材不足と働き方改革によって、10年前とは大きく様変わりしています。今後も続くかどうかはわかりませんが、企業として予測可能な対策の準備を怠ると大きな責任問題となります。変化が早く競争の激しい現代において企業はコスト優先ばかりでなく、やはり大切な従業員に負担を掛けないような配慮が必要といえそうですね。

 

【記事監修】RESUS社会保険労務士事務所/山田雅人(宅地建物取引士・社会保険労務士)大企業・上場企業を中心に10年にわたり全国500社以上の人事担当と面談、100社以上の社宅制度導入・見直し・廃止に携わった経験を活かし、不動産仲介業者に向けた事務代行サービスの提供、不動産に特化した社労士として事業主・従業員双方にメリットの高い制度設計など中小企業の働きやすい職場に向けた取組を支援しています。

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