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不動産会社が広告宣伝費をかけずに売上を伸ばすなら法人契約

2019/09/22

紹介したマンション、法人契約でお願いしたい!?

不動産会社で営業していると、時々「法人契約でお願いしたいんですけど・・・」と言われることがあります。

 

「大丈夫ですよ~」

 

とは答えたものの、これからどのように手続きすればよいのでしょうか。

かつては法人契約といえば、大企業だけの特権のようにイメージされていた時代がありましたが、近年は中小企業や社長一人しかいない会社からも法人契約を頼まれることがあります。一体どうしたのでしょうか。

法人契約が増加した背景

会社で借りた住宅を役員や従業員に住ませると、会社の経費として扱うことができるため節税となるほか、給料のような金銭で支給せずに物やサービスで支給(現物給与)することによって社会保険料の負担が減るなどメリットが多くあります。最近は人材不足によって優秀な人材を繋ぎとめるための企業の施策や、応募を増やすための福利厚生制度をアピールするなど、大企業だけでなく中小企業においても人材の獲得に積極的な事業主を中心に広く借上げ社宅制度が活用されるようになりました。2004年から毎年引上げされ2017年に現行の18.3%、13年間で4.72%も引上げされた厚生年金保険料の負担を軽減するためにも社宅は効果が高い制度として、大企業から少し遅れて中小企業にも注目が集まっています。もちろん、法人であれば社長も厚生年金に加入する義務があるため、節約意識の高い社長ならば自宅を社宅として賃貸契約しています。いまや企業の人事戦略上も社宅制度は重要な位置を占め、今後も法人契約の借上げ社宅は増加傾向が続くと予想されているため、不動産賃貸営業にとって法人契約は必須のスキルともいえます。

法人契約の基本

規模が大きくなるにしたがって厳密になっていきますが、会社の名義で賃貸住宅を契約する際には、必ず何らかの「社宅規程」があります。なぜなら、社宅に関する社内ルール(社宅規程)があることが社宅の要件であり、社宅規程が無ければ法律上の社宅と認められず税金や社会保険上のメリットを享受することができません。社宅規程には家賃に対する会社負担割合のほか、「賃料」、「広さ」、「一時金」の他、「更新料」や「違約金」の上限まで、会社で契約してもよい物件の条件を設定したうえで、制度を実施(部屋を探す)ことになります。営業担当としては物件を探す前に規程を確認しておくことが必要ですが、飛び込み来店客などは気に入った部屋が見つかるまで法人契約か不明なこともあるため、法人契約と知ったときにはすぐに規程を確認することが必要です。企業の規程類は基本的に社外秘のため宅建業者用に別紙を用意しているところもありますが、無い場合や入居者本人が規程を誤って理解していることもあるため契約の窓口を担当する部署の連絡先を教えてもらったうえで手続きを進めることが後のトラブル防止には必須です。もしも社長の自宅用として契約する場合には社長がOKならOKかもしれませんが、税法や社会保険法でも一定のルールがあるため、難しい内容ですが概要だけでも学んでおくと損は一切ありません。

法人契約の手続きステップ

1.規程と契約窓口を確認する

2.入居申込書の押印を依頼する

3.契約書類のひな形チェックを依頼する

4.入金を確認して鍵を渡す

5.チェック済の契約書類を回収する

個人契約の場合は入居申し込み時点で重要事項説明を実施し、契約書を取り交わし、入金を確認したうえで鍵を渡す単純な手順ですが、法人契約の場合は書類の事前チェックや押印に1か月近くかかる場合があるなど、個人契約と手順が大きく異なるため順序の理解と説明が不足すれば家主からもクレームになるため注意が必要です。また、規定をオーバーした物件の場合は原則契約することはできないため、規定を確認しないまま本人が物件を気に入ったとしても、契約することができなくて契約を落とすことになります。法人契約の特性を理解しないまま申し込み手続きを進めると規程の確認や手続きの不備でつまずき、自身も法人取引にネガティブなイメージ(苦手意識)が定着してしまいます。不動産会社の営業担当にとって、法人契約は規程と手順の確認が最も重要となります。なお、懇願されたとしても規程に合うよう条件を操作すれば入居者自身の懲戒のほか、宅地建物取引業者として責任を追及されることになるため不正は行わないことが賢明です。

BtoBは書面重視

法人契約時のひな形チェック作業は押印が必要な書類を事前にFAX(メール)する場合と、指定されたシステムのURL上で処理する場合があります。大企業は事務作業の軽減のため社宅業務代行会社へアウトソーシングしているところがほとんどで、社宅代行会社は「少しくらい大目に見る」ことは無いためルールはやや厳格になります。あらかじめ契約締結の手続きを確認しておきましょう。管理会社から提出される書類の他に、企業側からも「反社会的勢力の排除誓約書」や「契約内容に関する別途覚書」など契約締結に貸主の押印が必要な書類を依頼される場合や、不動産会社に対して「締結依頼書」や「手数料支払い承諾書」など、書類の多さに混乱しますが、法人取引では一般的な書類のためその目的を覚えておくと他社との取引でもスムーズに処理ができ、企業からの信頼が高まります。企業間取引(BtoB)は書面の取り交わしを重視するため、これが当たり前という感覚をつかむまでには時間がかかります。

法人契約は割に合わない?

個人契約に慣れた営業担当の場合、法人契約は書類の確認や訂正などに多く時間がかかるほか、仲介手数料の値引きや間に入っている業者からマージンを要求されるため、「法人契約は割に合わない」として積極的に扱っていない不動産会社がほとんどです。しかし、会社は新入社員の採用や人事異動(転勤)が常に発生しています。そして、法人は面倒な手続きでもしっかりと処理してくれる「信頼できる」業者かどうかを基準として不動産業者を選びます。営業担当個人、一回きりの取引であれば割に合わないこともありますが、不動産会社単位で『広告宣伝費をかけなくても』定期的に契約が発生するとなると考えは変わるはずです。法人の担当部門だけでなく、支店に既に配属されている管理職からも紹介してくれることがあり法人契約は不動産業者にとって『ストックビジネス』となる面が大きいため、面倒でも積極的に取り組めば売上向上など経営に大きなプラスとなる可能性があります。

既に東京や大阪の都市部では法人契約の安定性に目をつけて、「法人契約専門」を掲げた不動産業者もあります。是非積極的に法人契約を伸ばしたいところです。

 

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