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中小企業向け社宅制度の作り方|節税と社会保険料対策の決定版【2026年最新版】
2019/09/13
(最終更新日:2026/07/07)

本記事は、中小企業の経営者・人事労務担当者向けに、借上げ社宅制度の家賃設定方法を【2026年最新版】として解説します。所得税法・社会保険法の両面から最適な設定を行い、節税と社会保険料対策を両立するための実務ポイントをわかりやすくまとめています。2026年は社会保険料の現物給与算定ルールに大きな改正があり、住宅の評価基準が「畳」単位から「総面積(㎡)」単位へ抜本的に切り替わります(後述)。※法令改正や価格は年度ごとに変動するため、常に最新情報の確認を推奨します。
中小企業向け 借上げ社宅の家賃設定方法と節税・社会保険料対策【2026年最新版】
借上げ社宅制度とは?中小企業で導入が増える理由
会社が賃貸物件を借り上げ、従業員に貸与する「借上げ社宅」「単身寮」の使用料は、所得税・社会保険料の課税関係を考慮して設定する必要があります。 負担額が低すぎると給与課税や社会保険料算入が発生し、逆に高すぎると従業員の負担が過大になります。
社宅制度の導入時にほぼすべての会社が悩む、この『社宅使用料の設定』については税理士や社会保険労務士のほかコンサルティング会社の専門家による指南書によると、「家賃の1〜3割を負担させれば問題ない」と言われていますが、全ての会社に当てはまるものではありません。実際に自社の運用は100社100様のため、自社の拠点先によって「最低ラインの大まかな理解」の上で設定していく必要があります。まずは基本から押さえていきましょう。
なお、以下で説明する所得税法上の「賃貸料相当額」の計算方法自体は、2026年7月7日時点で従来からの変更はありません。一方、社会保険法上の「現物給与」の評価方法は2026年に大きな改正が行われるため、両者を混同しないよう注意が必要です。
社宅使用料は所得税法、社会保険法によって計算式が異なる!
課税関係、社会保険料から除外扱いするためには所得税法における『賃貸料相当額(税法上の基準家賃)』、社会保険法と雇用保険法における『現物給与(現金以外の給付の金額換算)』を考慮しなければなりません。各法における社宅使用料の扱いを確認していきましょう。
1.所得税法における賃貸料相当額の計算方法【2026年時点】
(ポイント)
- 所得税法基本通達では、「賃貸料相当額の50%以上」を従業員から徴収すれば課税しない。
- 賃貸料相当額は実際の家賃ではなく、固定資産税課税標準額等から算出される。
- 計算式は建物の規模や構造で異なる。
- この計算式自体は2026年7月時点で法改正はなく、従来どおりです。
計算式【要約(所得税法)】
①小規模住宅(床面積が132㎡以下、木造以外では99㎡以下)の場合
[その年度の家屋の固定資産税課税標準額×0.2%]+[(12円×床坪数)]+[土地の固定資産税課税標準額×0.22%]
②小規模住宅以外の場合
{[その年度の家屋の固定資産税課税標準額×12%]+[土地の固定資産税課税標準額×6%]}÷12
③共同住宅の場合は全体から居室部分を案分して算出します。
賃貸料相当額(建物全体)×(使用面積÷全体の専用面積)
(注意)
- 固定資産税評価額が20%以内の変動なら改定不要(通達36-46)。
- 複数物件は「プール計算の特例」が可能(通達36-48)。
- 役員社宅は別ルール(50%基準と②式の高い方を採用)。
使用人に対して社宅や寮などを貸与する場合には、使用人から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)以上を受け取っていれば給与として課税されません。使用人に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。使用人から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。しかし、使用人から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。現金で支給される住宅手当や、入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので給与として課税されます。(国税庁の取扱いに基づく要約)
役員に貸与する社宅(役員社宅)については▶役員社宅を使った節税・社会保険削減スキームの詳しい紹介をご確認ください。
2.社会保険法、雇用保険法における現物給与【2026年10月に大改正】
【重要】2026年の現物給与価額改正の全体像
厚生労働省告示により、現物給与の価額が以下のスケジュールで改正されます。
| 項目 | 適用開始日 | 変更内容 |
|---|---|---|
| 食事の現物給与価額 | 令和8年(2026年)4月1日〜 | 都道府県別の食事単価が改定 |
| 住宅の現物給与価額 | 令和8年(2026年)10月1日〜 | 算定単位が「畳」から「総面積(㎡)」に変更 |
住宅の現物給与価額については、単なる単価改定ではなく、評価の物差し自体が変わるという、実務上のインパクトが大きい改正です。
- 2026年9月30日まで:居室部分(居間・寝室・客間など)の畳数 × 都道府県別の畳単価で算定。玄関・台所・トイレ・浴室・廊下は含めません。
- 2026年10月1日から:居住する住宅の床面積の合計(総面積)× 都道府県別の㎡単価で算定。玄関・台所・トイレ・浴室・廊下も含めます(ただし別棟の物置・車庫や共用部分は除きます)。
つまり10月以降は、これまで現物給与の対象外だった水回りや廊下も評価対象に含まれる一方、単価そのものは畳単価よりも下がる、という構造になっています。物件の間取り(水回りの占める割合)によって、改正前後で現物給与価額が増える物件・減る物件の両方が生じ得るため、自社の社宅物件ごとに再計算しておくことをおすすめします。
なお、この改正は「固定的賃金の変動」に該当するとされているため、変更幅によっては「被保険者報酬月額変更届」の提出が必要になる場合があります。2026年10月分の給与計算に合わせて、対象者の洗い出しを早めに行っておくと安心です。
【2026年度 都道府県別 現物給与価額(住宅)一覧】
(1人1月当たり/円。1円未満は切り捨て)
| 都道府県 | 〜2026/9/30(畳1畳につき) | 2026/10/1〜(総面積1㎡につき) |
|---|---|---|
| 北海道 | 1,110 | 530 |
| 青森 | 1,040 | 460 |
| 岩手 | 1,110 | 520 |
| 宮城 | 1,520 | 680 |
| 秋田 | 1,110 | 490 |
| 山形 | 1,250 | 540 |
| 福島 | 1,200 | 540 |
| 茨城 | 1,340 | 600 |
| 栃木 | 1,320 | 590 |
| 群馬 | 1,280 | 550 |
| 埼玉 | 1,810 | 840 |
| 千葉 | 1,760 | 830 |
| 東京 | 2,830 | 1,330 |
| 神奈川 | 2,150 | 1,010 |
| 新潟 | 1,360 | 580 |
| 富山 | 1,290 | 560 |
| 石川 | 1,340 | 580 |
| 福井 | 1,220 | 540 |
| 山梨 | 1,260 | 560 |
| 長野 | 1,250 | 560 |
| 岐阜 | 1,230 | 540 |
| 静岡 | 1,460 | 650 |
| 愛知 | 1,560 | 710 |
| 三重 | 1,260 | 580 |
| 滋賀 | 1,410 | 640 |
| 京都 | 1,810 | 830 |
| 大阪 | 1,780 | 820 |
| 兵庫 | 1,580 | 730 |
| 奈良 | 1,310 | 580 |
| 和歌山 | 1,170 | 490 |
| 鳥取 | 1,190 | 500 |
| 島根 | 1,150 | 500 |
| 岡山 | 1,360 | 620 |
| 広島 | 1,410 | 670 |
| 山口 | 1,140 | 500 |
| 徳島 | 1,160 | 510 |
| 香川 | 1,210 | 550 |
| 愛媛 | 1,130 | 500 |
| 高知 | 1,130 | 490 |
| 福岡 | 1,430 | 670 |
| 佐賀 | 1,170 | 510 |
| 長崎 | 1,150 | 510 |
| 熊本 | 1,150 | 530 |
| 大分 | 1,170 | 530 |
| 宮崎 | 1,080 | 490 |
| 鹿児島 | 1,110 | 470 |
| 沖縄 | 1,290 | 620 |
(出典:日本年金機構「令和8年4月から現物給与の価額が改正されます」を基に作成)
計算方法の変化(具体例)
東京の物件で、居室部分16畳(26.4㎡)、総面積40㎡の社宅を例にすると、次のように変わります。
- 改正前(〜2026/9/30):2,830円 × 16畳 = 45,280円
- 改正後(2026/10/1〜):1,330円 × 40㎡ = 53,200円
このケースでは総面積を対象とすることで金額が上がっていますが、水回りの比率が小さく居室部分が広い物件では逆に下がるケースもあり、一律に「上がる/下がる」と言い切れない点に注意してください。
なお、月の途中で入居した場合は日割り計算となる点は従来どおりです(1か月分の現物給与価額 ×入居日以降の日数÷その月の総日数)。また、勤務地と社宅が県をまたぐ場合は勤務地の価額を使う点、本社・支店それぞれの所在地の価額をそれぞれ適用する点なども、従来のルールが維持されています。
居室区分が不明確なデザイナーズマンションや、複数の社員等で同一居室を利用するハウスシェアリング、共用リビングを持つシェアハウスなどについては、改正後の「総面積」基準のもとでどこまでを各入居者の占有面積とみなすか、現時点(2026年7月7日)で明確な統一ルールは示されていません。契約書の記載内容や実態を踏まえて合理的に按分し、調査時に説明できるようにしておく実務対応が引き続き必要です。
労働保険料(雇用保険・労災保険)の扱い【変更なし】
(ポイント)
- 原則として社宅貸与は賃金に含めない。
- 例外:住宅手当支給者との均衡上、1/3以下負担の場合は差額を賃金とみなす。
- この取扱いについては、2026年7月時点で確認できる法改正情報はありません。
労働保険料上においては『労働保険料徴収法』という法律でルールが定められており、労働保険料の賃金は「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの」とされており、労働契約などによってその支払いが事業主に義務付けられているものであり、任意的なもの、恩恵的なもの、実費弁証的なものは賃金として扱わないことで区分しています。
結論から言うと社宅は原則として労働保険料上の賃金として扱われませんが、住宅を貸与されない者に対して定額の均衡給与(いわゆる住宅手当)を支給する場合には、貸与の利益を賃金として取り扱うとされています。また、「従業員から社宅の費用を徴収しており、かつ、その徴収金額が実費の1/3以下であるときは、その差額部分を賃金とみなす」とされています。要約すると以下となります。
- ✅住宅を貸与されていないものに対して均衡手当を支給していない場合は賃金として扱わない
- ✅社宅使用料が均衡手当額の1/3以下の場合は差額を賃金として扱う
- ✅社宅使用料が均衡手当額の1/3以上の場合は算入しない
- ✅均衡手当を支給せず貸与される従業員から社宅費用を徴収する場合は実費(家賃)の1/3との差額が賃金とみなされる
どちらの基準を優先すべきか(2026年10月以降の考え方)
- 都市部:所得税計算方式が高額になる傾向は変わりません。
- 地方:社会保険料の現物給与評価が高額になりやすい傾向も基本的には変わりませんが、2026年10月以降は算定単位が変わるため、地域・物件ごとに再試算が必須です。
(実務目線での結論)「所得税法・社会保険法のいずれか高い方を基準に設定」するのが安全という考え方自体は変わりません。都心ほど税法基準が優勢、地方では社会保険基準が優勢となるケースが多いですが、2026年10月以降は住宅の現物給与が「総面積(水回り込み)×㎡単価」に変わるため、従来の試算結果をそのまま使い回すことはできません。物件ごとに、①改正前後の現物給与価額、②所得税法上の賃貸料相当額、の両方を再計算し、高い方を基準に社宅使用料を見直すことをおすすめします。
東京で税法上の賃貸料相当額を計算すると20㎡のワンルームでも2〜3万円になることはよくあることですが、地方では社会保険料の現物給与価格が相対的に高くなる傾向は2026年10月以降も残る見込みです。ただし水回りを含む総面積が評価対象になることで、従来「居室が狭く水回りが広い」物件では現物給与価額が押し上げられる可能性がある点は新たな留意点です。
【比較事例】地域別 社宅使用料の実態(北海道調査/改正前後比較)
以下は当社が実施した北海道社宅使用料調査(H28年)に基づく実例です。「現物給与価格(改正前)」は従来の畳基準、「現物給与価格(改正後・試算)」は2026年10月以降の㎡単価(北海道:530円/㎡)を専有面積にかけた参考値です。専有面積(不動産広告上の数値)は必ずしも改正後の「総面積」の定義と完全に一致するとは限らないため、実際の適用にあたっては各物件の間取り図等で改めて確認してください。
| 物件住所 | 賃料(共益費込み) | 専有面積(㎡) | 賃貸料相当額の50% | 現物給与価格(改正前・畳基準) | 現物給与価格(改正後・㎡基準/試算) |
|---|---|---|---|---|---|
| 檜山郡江差町 | ¥50,000 | 52.66 | ¥2,699 | ¥15,150 | ¥27,909 |
| 河東郡音更町 | ¥45,000 | 40.60 | ¥1,792 | ¥12,120 | ¥21,518 |
| 稚内市 | ¥60,000 | 43.74 | ¥1,863 | ¥12,720 | ¥23,182 |
| 釧路郡釧路町 | ¥55,000 | 40.37 | ¥1,851 | ¥12,120 | ¥21,396 |
| 札幌市清田区 | ¥41,000 | 33.21 | ¥1,052 | ¥9,000 | ¥17,601 |
| 小樽市若松 | ¥53,000 | 33.62 | ¥1,469 | ¥9,090 | ¥17,818 |
| 帯広市西二十四条 | ¥51,000 | 34.52 | ¥3,646 | ¥9,090 | ¥18,295 |
| 二海郡八雲町末広町 | ¥45,000 | 31.87 | ¥1,288 | ¥9,090 | ¥16,891 |
| 岩見沢市 | ¥45,000 | 34.78 | ¥789 | ¥10,300 | ¥18,433 |
| 函館市 | ¥50,000 | 28.35 | ¥2,333 | ¥8,480 | ¥15,025 |
| 標津郡中標津町 | ¥45,000 | 31.59 | ¥2,552 | ¥9,090 | ¥16,742 |
| 小樽市 | ¥55,000 | 32.00 | ¥1,799 | ¥9,090 | ¥16,960 |
| 釧路市 | ¥53,000 | 33.12 | ¥1,357 | ¥9,690 | ¥17,553 |
| 伊達市 | ¥49,000 | 34.78 | ¥2,175 | ¥10,300 | ¥18,433 |
| 帯広市 | ¥49,000 | 41.14 | ¥2,908 | ¥12,120 | ¥21,804 |
| 浦河郡浦河町 | ¥50,000 | 35.03 | ¥1,397 | ¥10,300 | ¥18,565 |
| 釧路郡釧路町(鉄筋) | ¥50,000 | 38.88 | ¥2,699 | ¥11,510 | ¥20,606 |
| 石狩市花川 | ¥50,000 | 43.74 | ¥1,594 | ¥12,120 | ¥23,182 |
| 札幌市厚別区 | ¥50,500 | 33.00 | ¥2,352 | ¥9,090 | ¥17,490 |
| 旭川市東5条 | ¥50,000 | 41.40 | ¥1,552 | ¥12,120 | ¥21,942 |
| 函館市美原 | ¥50,000 | 33.18 | ¥3,762 | ¥9,690 | ¥17,585 |
| 札幌市白石区 | ¥50,000 | 33.00 | ¥3,025 | ¥9,090 | ¥17,490 |
改正前は畳数(居室のみ)を基準にしていたため物件によるバラつきが大きく出ていましたが、改正後は総面積(専有面積に近い数値)を基準にするため、水回りの広さや共用部分の取り方次第で評価額が変わります。所得税法上は家賃の1割程度を負担させておけば問題なさそうに見える物件でも、社会保険料の現物給与を考慮すると差額が生じるケースが引き続き想定されます。
一方で、東京都心の高級賃貸タワーマンションであれば実際の家賃と賃貸料相当額で相当な差があるため、一流企業や外資系企業の経営者などハイクラス層では節税方法として広く利用されています。仕組みを知ると、正当な節税スキームとして社宅制度が有力といわれるのも納得です。
一部社員限定のような制度設計のバリエーション(変更なし)
- 年齢制限(例:30歳まで)や期間制限(例:入居5年まで)。
- 役職限定(転勤者・単身赴任者のみ等)。
- 自己負担比率を階段的に増減させる方式。
- 「給与置き換え型」での税・保険料メリット享受(最低賃金法要確認)。
実務上は一部の従業員や期間を限定した制度にしている会社も多くあります。社宅の入居制限(年齢・役職・入居期間)については、社宅制度を導入するきっかけとなった理由によって各社様々です。
例えば、若年層を多く採用する飲食店などのサービス業では、「若年社員の生活支援」を目的として入居期間を5年、年齢を30歳までと社宅定年を設定したり、コンサルティング会社では優秀なミドル社員採用のため「重責なポジションにあたる役職社員」と限定したり、転勤の多い会社では「転勤者・単身赴任者の生活負担軽減(転勤プレミアム)」としたり、入居期間によって階段状に自己負担比率を上げていく制度設計を行っている会社もあります。社会保険料や所得税の負担増を考慮すると、今後は昇給実施の代替案として自己負担比率を下げていく制度設計も検討の余地があります。なお、最近は転勤のない中小企業でも福利厚生制度として、契約時一時金を全額入居者負担としたり、会社が負担する家賃相当額(社宅利用料を差し引きした家賃)を入居者の給与から減額する「(現物)給与置き換え型」の社宅制度を導入する会社も増えています。給与置き換え型であれば会社と労働者の双方がバランスよく税・社会保険上のメリットを享受できるため今後も拡大していきそうです(バックペイ、随時改訂、最低賃金法に注意)。
導入・見直しの注意点(変更なし)
入居制限や柔軟な自己負担の制度設計はそれぞれ個々の企業における業種業態や社員層を踏まえて決定しています。基本的に社宅制度は従業員の不満や希望から導入を開始する会社が多いので、まずは『導入のきっかけ』と『導入の目的』を整理したうえで『限定的・試験制度的』に実施し、対象とならない従業員との不公平や同一労働同一賃金に該当しないかを運営上チェックしながら改善していくことが新規導入実務の主な流れになります。
社宅制度は本当に多種多様で、当社の経験上はあまり大風呂敷を広げた制度設計にすると不利益変更(労契法9条)に抵触し縮小できなくなるので、新たに導入する際はできる限りスモールに、試験的かつ限定的に実施しながら拡充していくようにアドバイスさせていただいています。既に経営を圧迫するほど過大であったり同一労働同一賃金に抵触してしまっているようなアンバランスな制度運用を見直しする場合は、適正水準の目標を定めて1年程度じっくり修正するのが基本的な手続きです。
【参考】2026年に施行されるその他の社会保険関連の変更点
社宅の使用料設定そのものではありませんが、2026年度は社会保険料まわりで他にも制度変更があるため、あわせて把握しておくと安心です(いずれも社宅の現物給与評価とは別枠の改正です)。
- 協会けんぽの健康保険料率(全国平均)が2026年度に引き下げ、介護保険料率は引き上げ、雇用保険料率は引き下げとなっています。
- 2026年4月から、健康保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」の徴収が始まっています。
- 2026年10月から、いわゆる「106万円の壁」を構成していた月額賃金要件が廃止され、短時間労働者の社会保険加入対象が拡大される予定です。
これらは標準報酬月額や保険料率そのものに関わる改正であり、現物給与(社宅)の評価方法とは別の制度改正です。混同しないようご注意ください。
まとめ
- 社宅使用料設定は税法・社会保険法の双方の基準を満たすことが不可欠。
- 所得税法上の賃貸料相当額の計算方法は2026年7月時点で変更なし。
- 社会保険法上の現物給与(住宅)は2026年10月1日から「畳」基準→「総面積(㎡)」基準に変更。食事の現物給与価額は2026年4月1日から改正済み。
- 年度・改正時期ごとに評価額・単価が変わるため最新データ確認が必須。
- 制度設計は小規模スタート+試験導入でリスクを抑える。
年金事務所や労働基準監督署が現物給付の取扱いを指摘することは、悪質な事案を除けば実務上それほど多くはありません。一方、税務署は社宅制度についても税務調査の対象として確認するため、実務上は税法を基準として社宅使用料のルールを設定している会社がほとんどです。
しかし、年金事務所や労働基準監督署による調査は年々強化されており、「以前は指摘されなかったから大丈夫」という考えで運用していると、将来的に是正や保険料の遡及徴収などの対応が必要となる可能性があります。特に2026年10月の住宅に係る現物給与算定基準の改正は、社宅を保有・借上げしている企業にとって実務対応が必要となる重要な改正です。対象物件の総面積を確認し、必要に応じて社宅使用料や随時改定の要否を早めに見直しておくことをおすすめします。制度の適用や社宅使用料の設定に迷われる場合は、顧問税理士または顧問社会保険労務士へご相談ください。
【記事監修】RESUS社会保険労務士事務所/山田雅人(宅地建物取引士・AFP・社会保険労務士)
大企業・上場企業を中心に10年にわたり全国500社以上の人事担当と面談、100社以上の社宅制度導入・見直し・廃止に携わった経験を活かし、不動産仲介業者に向けた事務代行サービスの提供、日本で一番社宅制度に詳しい社労士として中小企業の福利厚生制度設計を支援しています。
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